マンボウの昼寝
 皆さんは
マンボウの昼寝と呼ばれる行動をご存知でしょうか?普段は水中で生活をするマンボウですが、時折、海面に横たわることがあるのです。この行動をマンボウの昼寝とよびます。この行動には色々な説があり、その真の意味は未だ解明されていません。まずはこちらをご覧ください。


これはマンボウが群れで「昼寝」をしている非常に貴重な写真です。※ マツウラ コウタ様、ありがとうございました。
時折、マンボウはこのように群れで水面に横たわっている姿が発見されます。では、この行動に一体何の意味があるのでしょうか?諸説ありますが、有力な説を3つ、以下にご紹介致します。

@弱って海面に浮かんでいる。
A体を温めるために日向ぼっこをしている。
B海鳥に体表に付いた寄生虫をとってもらうため。


@について
 一般的にはこの説が一番信憑性がありそうなのですが、漁師や発見者の話によると、海面に横たわったマンボウを獲りに船で近づくとその横たわったマンボウは驚いて猛スピードで海中へ逃げてしまうそうです。稀に捕まえることも出来るそうですが、船の上に揚げるとマンボウは元気よく暴れるそうです。どうも単に弱って浮いているわけではないようです。私も弱ったマンボウを見たことがありますが、浮くことはなく沈んでいました。そもそもマンボウの成魚には鰾(うきぶくろ)がありません。ガスなどが溜まって浮くことはないでしょう。

Aについて
実はマンボウは海面と深海を行き来する生活をしています。深海へ移動する理由としてエサ(プランクトンや深海のイカ)の確保が考えられます。深海で冷めた体を温めているのではないかという話がありますが、これも真偽の程は不明。

あの姿、まさしくマンボウ! 海面に浮かぶマンボウ マンボウの体表に寄生している寄生虫@
Bについて
「地球・ふしぎ大自然」というNHKの番組でマンボウの特集(2001/11/12)があったのですが、その番組では
マンボウの昼寝は海鳥に寄生虫をとってもらう説というのがありました。なんとマンボウが海面にプカプカ浮いているのは体に付いている寄生虫を海鳥に食べてもらうというからだ、というのです。映像を見ると海面に浮いているマンボウに海鳥(カモメ)が乗ってマンボウの体を啄ばんでいます。この説が真実かどうかを調べるためには海鳥の胃の中を調べないとだめなのでしょうか?その方法しかないとすると真偽を確かめるのは難しそうですね。そもそも海鳥の中にマンボウの寄生虫を食べるような鳥がいるのでしょうか?(2006/4/16)
 そして2012年、非常に興味深い論文が発表されました。その論文「Observations on a school of ocean sunWsh and evidence for a symbiotic cleaning association with albatrosses」ではアホウドリがマンボウの体表に付いている寄生虫を食べている写真が掲載されているのです。

マンボウの体表に寄生している寄生虫A
マンボウの体表に寄生している寄生虫B 「昼寝」をしているマンボウに近づくアホウドリ マンボウに付着した寄生虫を銜えるアホウドリ
ご覧のように(写真左・右上)にマンボウの体表には寄生虫が付いていることが多々あります。これまで多くのマンボウを観察してきましたが、思い返すと大体1割くらいはこのひも状に寄生虫が付いていました。「昼寝」をしているマンボウに近づくアホウドリ(写真中央)。そして決定的瞬間!マンボウに付着した寄生虫を銜えるアホウドリ(写真右)。この決定的証拠写真を撮影したのは世界でも初めてではないでしょうか?
 この寄生虫を食べる行為を相利共生(食べる方、食べられる方、共に利益がある行為)の一例としてクリーニングと呼ばれます。魚同士では良く見られる光景ですが、
鳥・魚間では極めて珍しいのではないでしょうか。魚にも関わらず鳥とまで関わるマンボウ、なんて不思議で魅力的な魚なのでしょう。これからもマンボウの情報が入り次第、更新していきますので宜しくお願い致します。
 貴重な写真にも関わらず快く提供して下さいましたマツウラ コウタ様、セキグチ ケイコ様、本当にどうもありがとうございました。お二人の素晴らしい研究と貴重な写真によって、またマンボウの謎が一つ解けました。それではまた。(2013/5/12)

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